傾奇仕舞
先日の宴会から夜も明け、いよいよ関東最終日の朝を迎えた。
家主のご厚意で朝餉を頂き、更に湯楽の里というマリン付近にできた銭湯まで送って頂いた。
道中の空は余りにも青天で東京湾を挟んで向かいの富士山まで見ることができた。これが本日の吉兆になれば、と。
湯楽の里は靴箱のキーを利用した後払い制で自信が今まで経験のしたことのない決済方法だった。これは結構便利だ、とも思ったが知らないうちに使いすぎそうでなかなか自己制御力の問われるなと感じた。こわい。大浴場も大きく露天風呂も様々な種類がありかなり楽しめたが、儂はかなりのぼせやすい体質なので20分弱で大浴場を後にした。
迎えのバスが来るまでリラクゼーションチェアに腰掛け東京湾を眺めながらのんびり過ごし、そのまま海浜幕張駅へ。
荷物を預けもう一つの行きたいところへ足を延ばす。見浜園という日本庭園で、Fate/stay nightに出てくる衛宮邸のモデルになったとされる邸宅が見てみたかったのだ。
結構それっぽく見えたし、都市部の喧騒とは縁遠い静寂な時間が流れる空間は非常に心地が良かった。ある程度散策した後はいよいよ2日目のマリンスタジアムへレンタサイクルを漕ぎ出した。
先日とは違うクラスターとの野球観戦。珍しく社会人になってから出来た、おそらく数少ない同い年同士の友人達で、かねてから一緒に見たいなと思案していたことがようやく現実のものとなった。儂も若干ながら気が高揚していたこともあり、同行者たちをドン引かせる言動発言を繰り返していたかと振り返る。
試合は石川が予想通りのピッチングを披露した。儂が思うに石川は、
・毎イニングランナーを出しまくる。
・カーブでカウントが取れる。
・ストレートの球速はおよそ140キロ台前半
で投げていたらフラッフラしながらも相当に試合をまとめる印象があった。
そういう意味では完全に予想通りであったが、4回以降は手が付けられない状態になりこれは予想外の快投だった。
打線も先制・中押し・ダメ押しと完全にペースを握った試合運びで、"昨日はあんな感じだったが今日は快勝してもらいたい"という希望通りの展開だった。
9回裏までは。
益田が予想外の崩れ方をし、2点を追い上げられ尚も二死二三塁の大ピンチ。しかし守護神の意地か、最後の打者を三球三振に打ち取りなんとかマジックを減らすことに成功し胸をなでおろした。
その後はコロナ禍になって以来久々の店飲み。海浜幕張駅の近くにある海鮮系の居酒屋で非常に満足した。寿司がかなり美味しいのである。
同行者達には奇怪なものを見るような目で見られたが、好きなものは仕方ない。偏食ではない自負があるがうまいのは仕方がない。 仕方がないのだ。
そして本当に久々のカラオケにも行き、さんざん酔いが覚めるまで歌い上げ、最終日は徹頭徹尾満喫した。
したのである。実は居酒屋で飲んでいる時点で地元新幹線駅の終電が、カラオケに行った時点で岡山駅の終電が消滅した。そして急遽東京駅付近のホテルを確保し新幹線の時間も大幅にずらした。翌日始発で帰ればよかろうと考えていたが、月曜日は夜勤であり、それならばもう始業一時間前に自宅最寄り駅についたほうがチェックアウトまでしっかり寝られるのでは?ともなった。
結局月曜は10時ごろまで寝てから何とか自宅まで帰還し、仕事備えをしてそのまま職場に向かったのである。4泊6日の傾奇旅は火曜日の夜26時10分をもって仕舞となった次第だ。
皆の者、大儀であった。